LAIT NEWS

No.173:バックナンバー

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■LAIT News【Vol.173 2011/6/20号】

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1.LAIT活動報告
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LAITセミナーについてお知らせします。

■■最新の活動報告■■
「インターネット上の著作権侵害者に対するアクセス切断およびサイト閉鎖」は
好評のうちに終了いたしました。
たくさんの方にご来場いただき誠にありがとうございました。

■■8月の活動予定■■
演題: 「イギリスにおける知財制度改革の最新動向」
―ハーグリーヴス・レビュー(2011年5月)の勧告を中心に―
講師: 今村 哲也(イマムラ テツヤ)氏
  明治大学 情報コミュニケーション学部 准教授
概要: イギリスは2006年の政府の諮問による報告書(ガワーズ・レビュー)以降、
知財制度の改革に取り組んできたが、つい先日、2011年5月に公表された
新たな報告書(ハーグリーヴス・レビュー)では、「時代遅れ」の知財関連法
が「イギリスのイノベーションと経済成長を妨げている」と明確に述べ、
イギリスの知的財産政策に対する10項目の大胆な施策を提示した。これを
実行することで、79億ポンド(約1兆378億円。1ポンド=131.36円)の
経済効果が得られるという。
同報告書は次の10項目の施策に関して勧告を行っている(内容は概略)。
1.証拠:知財制度は可能な限り計量可能な客観的証拠に基づいて
設計されるべき
2.国際的な優先課題:欧州特許制度・特許裁判所の一元化やPCTの
強化など 
3.著作権ライセンス:デジタル著作権取引所(Digital Copyright
Exchange)の創設により著作物の利用を許諾できるオンライン取引
制度の導入など
4.孤児著作物:拡大集中許諾制度の導入など
5.著作権の制限:フォーマットシフト、パロディ、非商業的調査、
図書館アーカイブ等に関する著作権の例外規定の導入
6.特許の藪その他のイノベーション障害事項:特許庁間のワークシェア
で主導的立場をとる、現在特許のない分野に明確な便益なしに特許
を拡大しない、特許の藪問題を解決する方策を検討することなど
7.デザイン産業:デザインとイノベーションの関係を証拠に基づいて
評価することなど
8.知的財産権のエンフォースメント:教育による啓蒙、違法な市場に
代わる有効な市場の創出、適切なエンフォースメント体制、著作権法
の改革を総合的に行うことなど
9.中小企業への知的財産に関するアドバイスへのアクセス
10.変化に対応できる知財制度:政策実現に関する知的財産庁の
権限強化など
今回のセミナーでは、この新しいハーグリーヴス・レビューを中心に、
デジタル化時代に向けた知的財産法のあり方を模索するイギリスの動向を
紹介することで、我が国にも存在するはずの類似の課題に対する示唆を
得たいと考えている。
日時: 平成23年8月1日(月)午後1時30分〜午後3時30分 [注]月曜日開催  
場所: 「アビタス 八重洲」セミナールーム3
中央区日本橋3−6−2 日本橋フロント4階「アビタス」
    (JR東京駅八重洲口徒歩5分、東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅
    B1出口徒歩2分:中央通りと八重洲通りの交差点(日本橋3丁目)
      からタカシマヤ寄り二つ目のビル)
参加費: 3,000円(税込)
申込: http://www.lait.jp/laitseminar.php?itemid=751

[注] 諸事情により、参加費が有料(3,000円)となりますので、ご了承ください。

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2.海外の注目ニュース
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海外の注目の最新ニュースをお知らせします。

■■欧州委が「孤児著作物の許諾利用に関する指令案」発表、
共通ルール導入でデジタル化促進■■
●欧州委員会は5月24日、著作権の保護期間が存続しているものの、著作権者を
特定できない「孤児著作物」を電子化し、ネット上で閲覧できるようにするための
ルールを定めた「特定の孤児著作物の許諾利用に関する指令案」を発表した。
孤児著作物と認定するための要件や手続きを細かく規定し、各国の図書館、
博物館、公文書館などに保管されている孤児著作物の電子化を進めて域内の
どこからでもアクセスできる仕組みを確立するのが狙い。欧州議会とEU閣僚
理事会の承認を経て、2012年の新ルールを導入を目指す。
 EUは自ら運営する電子図書館「ユーロピアーナ(Europeana)」を中心に、欧州の
文化資産のデジタル化を推進する構想を打ち出している。しかし、EU各国の
図書館などに所蔵されている作品の多くが孤児著作物であるため、著作権者の
許可を得られず電子化の作業に入れないのが実情。たとえば英国の大英博物館
の場合、著作権保護期間内の収蔵作品のうち孤児著作物が約40%を占めると
みられている。
 欧州委はこうした現状を踏まえ、デジタル時代に対応した知的財産制度を確立
するうえで、孤児著作物の扱いに関する法的枠組みの整備が不可欠と指摘。
同じく24日に発表した知財分野におけるEUの総合戦略をまとめた政策文書「知的
財産権のための単一市場」でも、孤児著作物に関する共通ルールの導入を優先
課題の1つに挙げている。
 指令案はまず、著作権者を特定できない孤児著作物に関しては、権利者の
許可を得ずに作品を電子化し、ネット上で利用できる仕組みを導入すべきだと
指摘。ただし、孤児著作物の電子化には各国政府の許可が必要で、政府は公共
の図書館、博物館・美術館、公文書館、教育機関、公共放送局などに限り、
電子化を許可することができると規定している。
 孤児著作物を電子化するまでの手続きとして、まず作品を所蔵する図書館や
博物館などに著作権者を探すための「ディリジェント・サーチ(入念な探索)」の
実施を義務付ける。EUや加盟国の各種データベースなどを利用したディリジェント・
サーチの結果、最終的に著作権者が特定できなかった場合、当該作品は
「孤児著作物」と認定され、他のEU諸国に通知される。1カ国で孤児著作物と認定
された作品はEU全域で自動的に孤児著作物として認定されるため、同じ作品に
ついて複数の国でディリジェント・サーチを実施する必要はない。
 また、複数の国で同じ作品を電子化するといった無駄を省くため、EUは域内で
電子化された孤児著作物に関する情報を一元管理するデータベースを新たに
構築・運用する。一方、孤児著作物と認定された作品を電子化した後に著作権者
が判明したケースについて、欧州委はただちに孤児著作物としての認定を
取り消し、権利者に補償を支払う必要があると指摘している。
 欧州委はそのうえで、孤児著作物の問題は文化資産のデジタル化構想を妨げて
いるさまざまな障害の1つにすぎないと強調。今後は絶版書籍など、市場を流通して
いない著作物の電子化を進めるための許諾の仕組みについても検討を急ぐ方針を
示している。
(Out-Law News, May 27, 2011 他)

(庵研究員著)

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3.政府・団体の動向
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政府・団体の動向に関する最新記事の抜粋です。
詳細の横のURLをクリックすることで記事全文を示したページにアクセスできます。

■■情報セキュリティ法務関連政府・団体の動向■■

●6月10日、情報処理推進機構が『「Java Web Start」における3件の
セキュリティ上の弱点(脆弱性)の注意喚起』を公開
詳細:http://www.ipa.go.jp/about/press/20110610.html

●6月15日、情報処理推進機構が「Adobe Flash Player の脆弱性(APSB11-18)に
ついて」を公開
詳細:http://www.ipa.go.jp/security/ciadr/vul/20110615-adobe.html

●6月16日、情報処理推進機構が『「一太郎シリーズ」におけるセキュリティ上の
弱点(脆弱性)の注意喚起』を公開
詳細:http://www.ipa.go.jp/about/press/20110616.html

■■コンテンツビジネス法務関連政府・団体の動向■■

●6月6日、コンピュータソフトウェア著作権協会が「Shareを通じてアニメを
アップロード、男性を送致」を公表
詳細:http://www2.accsjp.or.jp/criminal/2011/1041.php

●6月8日、日本音楽著作権協会が「違法に複製したカラオケ楽曲データを
搭載した通信カラオケ機器をネットオークションで販売した男性らを逮捕」を公表
詳細:http://www.jasrac.or.jp/release/11/06_2.html

●6月9日、公正取引委員会が「株式会社ディー・エヌ・エーに対する
排除措置命令について」を公表
詳細:http://www.jftc.go.jp/pressrelease/11.june/110609honbun.pdf 
(注:PDFファイル)

●6月10日、コンピュータソフトウェア著作権協会が「電子書籍を無断で
ダウンロード販売、男性を送致」を公表
詳細:http://www2.accsjp.or.jp/criminal/2011/1042.php

●6月13日、日本音楽著作権協会が「富山県高岡警察署が海賊版音楽CDの
販売を行った著作権侵害再犯男性を送致」を公表
詳細:http://www.jasrac.or.jp/release/11/06_4.html

●6月14日、総務省が「株式会社next mediaに対する特定電子メール法違反に
係る措置命令の実施」を公表
詳細:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_01000030.html

●6月14日、総務省が「株式会社Breezeに対する特定電子メール法違反に
係る措置命令の実施」を公表
詳細:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_01000031.html

●6月14日、総務省が「株式会社FINEに対する特定電子メール法違反に係る
措置命令の実施」を公表
詳細:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_01000033.html

●6月14日、ビジネス ソフトウェア アライアンスが「BSA、福岡県所在の
住宅設備機器卸販売及び施工会社を著作権侵害の疑いで証拠保全」を公表
詳細:http://www.bsa.or.jp/press/release/2011/0614.html

●6月15日、日本音楽著作権協会が「埼玉県川越警察署が海賊版CD、DVDを
フリーマーケットで販売していた男性を逮捕」を公表
詳細:http://www.jasrac.or.jp/release/11/06_5.html

■■産業財産権法務関連政府・団体の動向■■

●6月10日、特許庁が「産業構造審議会知的財産政策部会意匠制度小委員会
意匠審査基準ワーキンググループ」を更新
詳細:http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/isyou_seido_wg_menu.htm

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4.セミナー情報
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最新のセミナー情報をお知らせいたします。
詳細の横のURLをクリックすることでセミナー詳細情報を示したページにアクセス
できます。

■■情報セキュリティ法務関連セミナー情報■■

演題:2011年度第2回月例セミナー
デジタル社会に対応した刑法・刑事訴訟法改正(案)の要点
−情報セキュリティ管理と監査はどのように対応すべきか−
日時:平成23年6月30日
主催:日本セキュリティ監査協会
詳細:http://www.jasa.jp/seminar/monthly.html

演題:JRMS普及セミナー
リスク社会を生き抜くために
日時:平成23年7月7日
主催:日本情報経済社会推進協会
詳細:http://www.jipdec.or.jp/event/jrms/index.html

演題:2011年度第2回定例研究会
日時:平成23年7月15日
主催:システム監査学会
詳細:http://www.sysaudit.gr.jp/kenkyukai/2011teirei2.pdf
(注:PDFファイル)

■■コンテンツビジネス法務関連セミナー情報■■

演題:問われる情報システムの安全性 
〜ISMSからみた事業継続計画(BCP)〜
日時:平成23年7月8日
主催:コンピュータソフトウェア協会
詳細:http://www.csaj.jp/seminar/2011/0708_seminar.html

演題:2011年7月著作権研究会
「ソーシャルメディアをめぐる著作権問題」
日時:平成23年7月19日
主催:著作権情報センター
詳細:http://www.cric.or.jp/seminar/seminar1107.pdf
(注:PDFファイル)

演題:「2011年 JEPA著作権セミナー」後期(3回)
著作権をめぐる重大トピックス
日時:平成23年7月27日、9月7日、9月28日
主催:日本電子出版協会
詳細:http://www.jepa.or.jp/seminar/seminar.php?id=173

演題:Next Generation Data Center 2011
日時:平成23年8月31日、9月1日
主催:Computerworld / CIO Magazine
詳細:http://www.idg.co.jp/expo/ngdc/2011/

■■産業財産権法務関連セミナー情報■■

演題:AIPPIセミナー 「インドにおける特許訴訟について」
日時:平成23年6月27日
主催:日本国際知的財産保護協会
詳細:http://www.aippi.or.jp/japan/seminar_10013.html

*詳細は、主催団体のHPへのリンクです。リンク先のコンテンツの内容・著作権等
に関しては、各リンク先にお問い合わせください。

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5.事務局からの連絡
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●次号は、2011年7月5日頃発行の予定です。
●ご意見、ご要望は事務局までどうぞお寄せください。
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【発行元】
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