スペアパーツを意匠保護の対象外に、欧州議会がEU指令改正案を可決

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 欧州議会は12日の本会議でスペアパーツに関する意匠指令の改正案を賛成多数で可決した。現在はEU加盟国のうち15カ国で自動車や工業機械などのスペアパーツが意匠権の保護対象となっているが、新制度では修理や交換に用いる自動車のボンネット、バンパー、ライトなどの部品について、意匠権を侵害することなくオリジナルと同一の製品を自由に供給できるようになる。今後、閣僚理事会で改正案について協議するが、自動車業界は当初から法改正に強く反発しており、意匠権の維持を求めてさらに各国政府への働きかけを強めるものとみられる。
 EU内では英国、イタリア、スペイン、オランダなどでスペアパーツの供給がアフターサービス市場に開放されているが、ドイツやフランスなどでは依然として意匠保護の対象となっており、自動車メーカーなどによる独占状態が続いている。このため欧州委員会はスペアパーツ市場で競争を促進して消費者の選択肢を増やす必要があるとして、2004年9月に意匠指令の改正案を打ち出した。
 改正案によると、自動車や工業機械が持つ本来の外観を変えるような装飾目的の部品に対しては今後も意匠保護が維持される。また欧州委は新指令の発効から2年以内に国内法を整備して新制度に移行するよう加盟国に求めていたが、欧州議会では移行期間を5年とする修正案が承認された。

(Managing Intellectual Property, December 13, 2007)

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