「バドワイザー」商標訴訟、ポルトガルでアンホイザーの敗訴確定

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ポルトガル特許庁が米ビール醸造大手アンホイザー・ブッシュ(Anheuser-Busch)の主力製品「バドワイザー(Budweiser)」の商標登録申請を却下した問題をめぐり、アンホイザー側が当局の決定を支持したポルトガル最高裁判所の判決を不服として提訴していた問題で、欧州人権裁判所大法廷は11日、同社の訴えを退けた同裁判所小法廷の判断を支持する判決を下した。
今回の案件は、アンホイザーが1981年に「バドワイザー」の商標登録を出願した時点で、すでにチェコのブジェヨビィツキー・ブドバル(Budejovicky Budvar)が商標権を取得していたとするポルトガル側の主張に対し、商標権の「平和的享受(peaceful enjoyment)」を認めず申請を却下した当局の決定は、個人と企業の財産保護を保障した欧州人権憲章第1条に違反するとして、アンホイザーが2001年6月に人権裁判所に訴えを起こしたもの。同裁判所小法廷は2005年10月、ポルトガル最高裁の判断を支持し、判決の無効化を求めるアンホイザーの訴えを退けたが、同社はこれを不服として大法廷に上訴していた。
「バドワイザー」の名称は、13世紀からビール醸造が行われていたチェコのボヘミア地方にあるチェスケ・ブジェヨビチェ(ドイツ語読みでブドヴァイス)という町の名前に由来する。アンホイザーの創業者は母国ドイツで人気の高かったブドヴァイス産のビールにあやかって、1876年に米国初の国産ブランドとなる「バドワイザー」の生産を開始した。一方、1895年にチェスケ・ブジェヨビチェで創業したブドバルのビールは、当地のドイツ系住民から「ブドヴァイス(Budweis)」の呼び名で親しまれていた。こうした経緯から、アンホイザーとブドバルは「バドワイザー」の商標権をめぐって20世紀初頭から対立関係にあり、現在も世界各地でおよそ40件の訴訟を抱えている。ちなみに米国ではブドバル社のビールは「チェックバル(Czechvar)」のブランド名で販売されている。

(Associated Press, January 16, 2007)

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